「1121」

●戻●

 嘘ばかりついていた。
 強がってばかりいた。

 君が羨ましくて。
 君が馬鹿馬鹿しくて。

 抱きしめたい程大切で、
 殴りたい程憎い君。

 どうしても君になりたくて。
 どうしても君になれなくて。


 ある日全ては壊れていった。
 今までした事無駄になった。

 戻りたいけど、
 戻れなかった。

 今までの俺ならどうしてただろう。
 これからの俺ならどうしたら良い?

 わからないけれど、
 隣に君がいた。

 そう俺には君がいる。
 そう俺には君がいた。

 俺によく似た君がいる。
 けど俺でない君がいる。

 気づきたかった。
 気づけなかった。

 君になるのは無理だった。
 俺らしく生きるべきだった。

 今からでも、遅くない?


 きっと、生きれる。
 俺、として。

●戻●